こんにちは 大川 由貴(おおかわ ゆき)です!
初めてブログをご覧になる方は、ぜひ 自己紹介 もご覧ください。
今回は、作り込み撮影専門の衣装作家についてご紹介します。

 

作り込み撮影とは

 

 

 

 

 

 

 

『創作撮影』や『ファインアートフォトグラフィー』と呼ぶこともあります。

写真史の中でも歴史の浅い分野で、まだまだ馴染みもないかもしれません。

奇抜なメイクや衣装、大型の背景セットなどは「広告写真」や「コスプレ写真」に似て見えるかもしれませんが目的が違います。

広告写真は何か物やサービスを売るため、コスプレ写真は漫画やアニメのキャラクターまたは、制服がかわいい職業などの衣装を着て世界観を再現するために撮ることが多いかなと思います。

 

一方、作り込み撮影の場合はアートディレクター(大抵はフォトグラファーなどが兼任している)がオリジナルの世界観を生み出し、それを写真に落とし込むために必要な物を揃え撮影します。

 

他の撮影業界(記念写真を撮る写真館や出張撮影サービス等)と比べてもかなり自己表現性が高いアートなジャンルかなと思います。

 

独自の世界観を出すために、衣装も既製品ではなくフォトグラファーやモデルが手作りで、あるいは個人で衣装制作をしている方に依頼して作ってもらうこともあります。

 

ゆきたそも依頼があれば作ったり、貸し出したりしています。

作業はすべて自宅のミシンで、打ち合わせなどもほとんどメールやSNSでやり取りします。

 

作り込み撮影用の衣装は、「華やかさ」などはウエディングドレスや舞台衣装、ダンス用の衣装と近いかもしれませんが…

それらの衣装と違って、まだ市場がものすごく小さくニッチな仕事です。

作り込み撮影用の衣装を専門にしている会社や工場はないと思います。

 

他の衣装と違う点は、3Dで肉眼で見るのか、2Dで写真で見るかの違いです。 

 

一般的な衣装はどこから見ても美しく見えるように作りますが、作り込み衣装の場合はクライアントによって大きく変わります。

寄りの写真が撮りたい場合はデコルテ周りや袖などに注力しますし(写らないスカート部分には余計なコストをかけない)、引きの写真では全体のシルエットや遠くからでもわかる装飾に注力します(あまりに繊細な装飾は写らないため)

 

写真で違いが写らないなら、高級素材ではなく丈夫でコストのかからない素材を選ぶこともあります。

 

また、ライティング方法や撮影方法に応じて素材も選びます。

 

ストロボを使い色が飛びやすい環境なら、飛びにくい色や素材である必要がありますし、ロケ地まで衣装を圧縮して運ぶならシワにならない素材を選びます。

水をかけたり、着装したまま水に入るような環境なら、水に強く濡れてもシミになりにくい素材を選びます。

 

納品も花の開花シーズンや月(新月や満月など)や日の入り時間によってベストなタイミングが異なりますので、撮影に合わせます。

 

モデルのポージングのし易さや、動いた時の袖やスカートの美しさまで計算しながら作るので、撮影の知識も求められます。

 

極端な話になりますが、トルソーに着せたときはバランスが悪く見える衣装でも、ライティングして、モデルが動いて「1/125秒」や「1/160秒」で見たときに美しく見えるならそれでいいのです。

 

何十時間もかけた衣装がたった1枚の写真の為に破棄になることもありますし、自分が作った服が商品として世に出るわけではないので、お客様に着てもらう喜びといったやりがいはあまりないですが…

 

自分が美しいと作った衣装が「写真」という形でずっと美しいまま記録されたり、アートとして価値がある(目で見て楽しめる)と評価されることが、店頭に並ぶような他のアパレル商品とは違うやりがいかなと思います。

 

好きなフォトグラファーの世界観に携わり、一緒に作品を作り上げる喜びは何物にも代えがたいです。

 

もし、ご興味がある方は、是非作り込み撮影にチャレンジしていただきたいです。

オリジナルの美しいと思うものを考えたり、そこに設定を加えたり、撮影に携わるすべてのスタッフが協力してバランスよく1つの作品にまとめ上げることは、他の撮影にはない苦労や困難もありますが、他の撮影にはない喜びや達成感もあると思います。

 

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
ご感想やご質問など、コメントやSNSでいただけたら嬉しいです。
twitter @yuki931206

 

大川 由貴(Okawa Yuki)

10歳から手芸や縫製に興味をもち、パタンナーを志望する。高校卒業後は服飾系の専門学校に進学し4年間、服作りについて学ぶ。卒業後は正社員としてアパレルメーカーに就職するも、ファインアート・フォトグラフィーの世界に出会い、フリーの衣装デザイナーへと転身する。衣装制作だけでなく、カメラマン、アシスタント、モデル、子ども写真館の契約社員等、積極的に撮影現場に入りスチール撮影について学ぶ。多岐にわたる経験を活かして、 共同経営で 写真スタジオを開業する。
CGイラストやフォトレタッチにも興味をもち、現在独学で勉強中。

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